「着物のたのしさ 素晴らしさ」のページでも少し触れていますが、20歳のころロンドンの街中で浴衣を着てストリートミュージシャンをやったことがあります。
PARCOの企画で『日本の音楽、出前します』と題しロンドンの街中で日本らしいパフォーマンスをするという内容の旅でした。
その旅に備えて近所の丸井で浴衣を購入。(PARCOの企画なのに丸井にお金落としてすみません)
赤に金色と黒の桔梗が配されたデザインで一目で気に入りました。
帯は黒と黄色がリバーシブルになったシンプルな半幅帯。
下駄は小学生の時から履いているものがあったので、その下駄を履いてロンドンの石畳をカラコロいわせて、あちこち移動しました。
ストリートミュージシャンはバスキングといって免許を取得して場所を確保するルールがあります。当時も免許制ではありましたが規制はかなりゆるく、ポリスが見回りにきたらミュージシャン仲間で教えあってその場をやり過ごすという感じでした。
ちなみに旅行者の私はお金をもらうと違法になるので「お金はいりませんので楽しんで」と書いたポスターを張って演奏していました。
30年前の話なのでロンドンの人々も今ほど日本のカルチャーに馴染みがなかったようで、とてもめずらしがられました。今では着物を愛する海外の方もたくさんいらっしゃっいます。見惚れるほど美しく着こなす方もいて、着物文化が世界に広まっていることを実感します。
2020年にはロンドンのV&Amuseumでヨーロッパ最大級の着物展「Kimono:Kyoto to Catwalk」が開催されました。コロナ渦で一旦は中断されますが、その後再開され現在はその様子をyoutubeで見ることができます。
2020年にV&A museumで開幕後はスウェーデン・パリ・スイスなど世界各国を巡回しました。
アニメや漫画だけでなく着物の魅力も世界に広まっているのはうれしいことです。
ところでロンドンに持って行ったこの赤い浴衣と帯。小学生から履いている下駄もいまだに持っています。そして着ています、履いています。
洋服ではなかなかそうはいかないですが、浴衣や着物は時が経っても着られるというところも魅力のひとつ。
帯を結ぶ位置やヘアスタイルで年齢にしっくりくるスタイリングをチョイスすれば 洋服だと派手に感じる色や柄も わりとすんなり着られます。
あなたのお家のタンスに眠っている浴衣も、もしかしたら見つけてくれるのを待っているかもしれませんよ。