中森明菜 「I MISSED “THE SHOCK”」

MUSIC

リリース:1988年11月1日
レーベル:ワーナー・パイオニア


22枚目のシングルとして1988年にリリース。
個人的に一番好きな明菜ソング。

イントロ導入部の0:15で四つ打ち0:22でドラムンベースが!
日本で最初にドラムンベースを取り入れた楽曲です。(まゆもも調べ)

CHANELを意識したカメリアが印象的な赤いキルティングの衣装も完成度が高い。お似合いです。

イギリスで生まれたドラムンベースが日本に来るのは1990年代初頭のことなので1988年にリリースした曲に使われているのは驚きです。
もっというと FATBOY SLIM や Goldie や Prodigy よりもドラムンベースを先取りしていたことを考えると中森明菜 恐るべし です

楽曲提供はQUMICO FUCCI。
この方 実はSHERBETSのメンバーとして有名な福士久美子さん。
なるほど。ロック畑の方。
いち早くイギリスの流れを取り入れた背景が見えた気がします。
前作の「TATOO」に続き編曲はEUROXがてがけておりエッジの聴いたサウンドに仕上がっています。
このあたりの人選もアイドルからアーティストへの変遷・移行期間を感じさせます。

これだけの制作人を集めたこの曲。
全体的にドラムがスパイシーに効いています。
ボーカルの後ろのスネアとハイハットの音がとても鮮明。
タイトルの ”SHOCK” を印象付けるかのように叩きつけるような感情むき出しのドラムが歌詞の世界観に力強さを与えているように思います。
2:48あたりのリムショットも勇ましい。

その勇ましさとはうらはらに明菜ちゃんの麗しいことよ!
この曲に関しては衣装がかなりキーポイントです。
「自己プロデュースの天才」として知られる明菜ちゃんですがこの曲の衣装にも並々ならぬこだわりがあったそうな。

ある日 デパートの広告ポスターに使用された甲賀真理子さんのドレスを見て「絶対にこのドレスで歌いたい!」と直談判したらしい。

たぶんこのポスターだと思われます

魅せることへの追及と行動力に感心しつつも、はたしてそれが この曲とこの衣装の関係性を理解した上での行動だったのかが気になるところ。
というのも このドレスにはフランソワ・ブーシェやフラゴナールのような絵画が施されており時代背景としては17世紀初頭から18世紀半ば。
音楽の世界ではバロック音楽がヨーロッパで主流だった時代。
そう この曲の序章のチェンバロの演奏部分は完全にバロック調。

明菜ちゃんはこのことを感性で感じ取っていたような気がする。
気迫にも似た神がかった麗しさをみると、そう思わずにはいられないのです。

もうひとつ。
この曲で紅白に出た時の衣装と2018年の椎名林檎さんのライブでの衣装が私の中で ほぼ一致しています。

実際に林檎ちゃんを拝みに さいたまスーパーアリーナへ行きましたのでこの目に焼き付いていますが登場した瞬間に

「明菜ちゃんの衣装じゃない?!」

って思って観てました。
見比べると違いますが ディテールというか王冠やざっくり編みの金ラメ部分とか雰囲気がとてもよく似ています。

林檎ちゃんの方はGucciかも。このステージ ほぼGucciだったものね。

明菜ちゃんのセンスは現代でも十分通用するほどに洗練されている。
きっと自身の感性のアンテナを信じて、それを具現化することを繰り返してきたのだろう。
自分が子供のころに感じていたキラキラした世界を見せてくれたのは中森明菜というアーティストだったのだと、50歳になった今あらためて感じるのです。

この明菜ちゃんのセンスをベースに育ち、20代でVienneWesrwoodの世界に憧れた私は
50代になってバロック芸術からフランソワ・ブーシェを着物に反映させて手作り着物を作ってみました。

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