20代の頃 ツナギを着て油にまみれて中古車屋で働いていた車好きの私。
秋の日に最高なドライブソングと車種とシチュエーションを考えてみました。
① VW ビートルと 奥田民生の「イージュー★ライダー」
これは実際に私が22歳の時にころに初めて買った車です。
ミニクーパーかビートルか悩んだ結果このビートルと出会い 初の愛車となりました。
無骨で頑丈な造りのボディ。
ドアを閉めた時の重い鉄板の音にゾクゾクする。
空冷のエンジン音は快調。
重ステ上等。
三角窓を開けて 顔に直に風を浴びながら走る空いた国道。
カーステから このイントロが流れたらそれだけで最高の一日になる。
② FORD THUNDERBIRDとLiz Phair の「Go West」
「テルマ アンド ルイーズ」の世界。
ぐりんぐりんのロングのパーマヘアに大きめのサングラスをかけて常にトップギアで走る。
かっこいい。でもたぶん実際は穴という穴が砂と埃で真っ黒です。
赤土の砂煙の中
うんざりするほどまっすぐな道をただひたすら走る。
そんなシチュエーションには
流れ星のように 車体長めの
オープンカーであってほしい。
乾いた音で刻むギターが
カーラジオから流れたら
何も考えず西へ進むしかない気がする。
③ VW GOLF1カブリオとくるり の「In Your Life」
またもVW。今度はGOLF1です。
これも実際に乗っていました。
「GOLF1ならカブリオがいいなぁ」と思っていたら、これもまたタイミングよく出会って購入。
写真がなかったので 所有しているカタログを撮りました。
GOLFはなんといっても1が好きです。
角ばったボディに丸目の顔がかわいい。
イージュー★ライダー以来のドライブ最適ソング。
電車好きの岸田さんが こんなに最高のドライブソングを作るとは。
幌も破れかけたGOLF1カブリオ。
フロアマットは小石と砂にまみれて汚い。
すっかりワイパーとウインカーの位置にも慣れた。
早朝 環七を走って友達の家から帰る。
昨日はみんなで焼き鳥を食べて
音楽を聴いて ベランダで煙草を吸った。
不思議な縁もあるものだと思いながら走る。
風が少し寒い。雨が降るかもしれない。
湿り気のある東京の空気と匂いに
遥かかなたの あの場所を思い出していた。
④ トヨタ ハイエースと The Boo Radleys の「Wake Up Boo!」
中古車屋の仕事で”仮ナンバーを陸運支局に取りに行く”というのがあります。
往復で1時間弱の車内で聴く用にツナギのポケットに名曲をテープに詰め込んだカセットテープを忍ばせて、いつでも ”りくじ” に行けるようにスタンバっているのです。
ハイエースの車内でヘビロテだったのはスキンヘッドのイギリス人がさわやかに歌うポップチューンでした。
国道から左に入る川沿いの道は”りくじ” への近道。
整備もほどほどのこの道は幅も狭く道沿いの樹々も野性のままで茂っている。
車高の高いこの車だとたまに垂れ下がった枝を揺らすほどだ。
みんな考えることは同じだ。
向かいからやってくるトラックも仮ナンバー。
道幅の狭いところにベテラン運転手のトラックと
そこそこのテクニックの私。
圧倒的不利。
相手は容赦ないスピードですれ違うつもりだ。
少しでも左に寄り過ぎたら
車ごとゴロゴロと土手を転がり落ちる。
「おむすびころりんって最後どうなるんだっけ?」
っていうのが最期の記憶だったらやだなー
とか思いながらすれ違ったおじさんは
手を挙げながら涼しい顔で通り過ぎて行った。
トランペットの音とキャッチ―なメロディーで
気持ちが落ち着いたころ ”りくじ”のゲートが見えてきた。